エノク書について Book of Enoch

 エノクによって書かれたとされる、多くの天使が登場する文書。「エノクは三百六十五年生きた。エノクは神と共に歩み、神が取られたのでいなくなった」(『創世記』)。義人エノクは生きたまま天に昇り大天使メタトロンとなったという。
 初期のキリスト教では『エノク書』は聖書の一部と信じられ、現在でもエチオピア正教ではエチオピア語の『エノク書』を教典としている。

エチオピア語エノク書

1章 エノクは幻の中で神を見て、み使い(天使)たちが悪人のために用意してある未来の審判の日と、選民・義人のために用意してある平安と至福について彼に教示したところを語る。
6〜36章 天使に関する諸説。6〜11:み使いたちの堕落、巨人の誕生を述べ、またノアによってみ使いたちの懲罰の宣告がくだされる。12〜16:エノクが同じ宣告をくり返す。17〜19,20〜36は天上、地上、地下の世界を幻のうちに巡回した、エノクの見聞記。その途中、彼は悪しきみ使いたちが火あぶりになる場所、義人たちと悪人たちの霊魂がおのおの行き着くところ、エデンの園、知恵の木、生命の木のあるところなどをたずねる。
37〜71章 メシアに関する教説。エノクの昇天。
72〜82章 天文学および暦法に関する教説。これは天使ウリエルによって掲示されたものである。
83〜90章 歴史的考察。
91〜105章 子孫に残す訓戒。
106〜108章 エピローグ。

スラヴ語エノク書

1章 義人エノクのもとにふたりの天使が現れる。
2章 エノク、息子たちに後のことを託す。
3章 エノク、第一天にあげられる。雪と氷と露の貯蔵庫
4章 第二天、主に背いた天使たち。
5章 第三天、天国と地獄の有り様。
6章 第四天、太陽と月の運行。
7章 第五天、グリゴリ(警護の天使たち)。
8章 第六天、大天使たち。
9章 第七天、エノク、主の尊顔を拝し、主のみことばをたまわる。
10章 エノク、大天使ヴレヴェイル(ウリエル)の口述を書き取る。
11章 主、エノクに天地創造の経過を語られる。
12章 (後代になってから挿入されたもののため省略)
13章 エノク、地上に戻って、息子たちに天上で見たことを聞いたことを語る。
14章 エノク、民の長老たちを呼ぶ。
15章 エノク、長老たちに語る。
16章 民が集まってエノクに敬意を表す。
17章 エノク、民に語る。
18章 エノク、ふたたび天にあげられる。
19章 (後代になってから挿入されたもののため省略)
20章 エノクの息子たち、祭壇を築く。
21章 エノクの息子メトセラ、祭司に選ばれる。
22章 メトセラの死、レメクの子ニルが祭司に選ばれる。
23章 ニルの妻ソフォニム、死の直前に懐妊する。メルキセデクの誕生。メルキセデク、天にあげられる。
(参照資料は、教文館『旧約聖書偽典外典』。ただし、一部こちらで表記を改めたり、省略した箇所もある)


エノク書に登場する天使の一部




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ジョン・ロナー 天使の事典−バビロニアから現代まで 鏡リュウジ・宇佐和通訳 東京・柏書房  1994.
聖書外典偽典 旧約偽典T 左近叔・土岐健治・他訳 東京・教文館 1975.
聖書外典偽典 旧約偽典U 村岡崇光訳 東京・教文館 1975.